コアウェブバイタル改善でページの放棄率を抑える

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コアウェブバイタルとは?

2021年6月のページエクスペリエンスアップデート使用されているコアウェブバイタルとは、ユーザー体験を改善する為に必要とされる指標のうち、Googleが最も重要と位置づけているLCP、FID、CLSの3つの指標を意味します。
コアウェブバイタルの指標は、Google botが収集したデータをもとにしておらず、CrUX (Chrome User Experience Report) という実際に訪問したユーザーとそのユーザー行動をもとにページ単位で集計されたフィールドデータをもとにしています。

基本的にはGoogle検索で掲載される際の評価指標として使用されます。一方でGoogle Discoverの掲載基準としてはコアウェブバイタルは使用されていません。

現時点(2022年11月)ではHTTP/3をランキングシグナルとして活用していないようです。コアウェブバイタルについてもほとんど、または全く改善につながらない可能性が高いそうです。

ページエクスペリエンス アップデートの指標の一つ

尚、ページエクスペリエンスアップデートで含まれるランキングシグナルの一つにコアウェブバイタルも含まれています。当初はモバイル検索のみに影響しデスクトップ検索には影響していませんでしたが、2022年2月23日にもデスクトップ検索に対しても適用されたことがアナウンスされています。ユーザー体験に直接的に影響する為、直帰やユーザー行動に大きく影響すると言われています。

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CrUXのデータ収集期間

コアウェブバイタルのフィールドデータを持たないページの場合には、フィールドデータを持つ他のページを参考に評価されます。CrUXのデータ収集には28日間かかるようです。

コアウェブバイタル指標の評価基準

スクロールできます
良好改善が必要低速
LCP2.5 秒以下4 秒以下4 秒を超える
FID100 ミリ秒以下300 ミリ秒以下300 ミリ秒を超える
CLS0.1 以下0.25 以下0.25 を超える
LCP・FID・CLSの評価基準

一旦良好の範囲のスコアになれば、それ以上の改善を行ったからといって更に検索順位に影響する事はないようです。

また、具体的に各指標がどのように検索順位に対して影響するのかについては、文書を公開したり、詳しく説明する予定は無いそうです。

LCPとは?

LCP(Largest Contentful Paint)とは、 ユーザーが URL をリクエストしてから、ビューポートに表示される最大のコンテンツ要素がレンダリングされるまでの時間を意味します。通常、最大のコンテンツ要素となり得るのは、画像、動画、大きなブロックレベルのテキスト要素などです。URL が実際に読み込まれていることが読み手にわかるという点で、この指標は重要です。
レポートに表示される Agg LCP(集計 LCP)は、グループ内 URL へのアクセスの 75% が LCP 状態になるまでに要した時間です。

https://storage.googleapis.com/web-dev-uploads/video/tcFciHGuF3MxnTr1y5ue01OGLBn2/10TEOBGBqZm1SEXE7KiC.webm

以前のページ表示速度の指標と類似しているが、LCPはユーザーが気にするであろう箇所の主要要素の表示速度を示します。
Signed Exchangeを使用する事でLCPスコアの低減につながるようです。

FIDとは?

FID(First Input Delay)とは初回入力遅延とも呼び、ユーザーが最初にページを操作したとき(リンクのクリックやボタンのタップなど)から、ブラウザがその操作に応答するまでの時間の事を意味します。この測定値は、ユーザーが最初にクリックした任意のインタラクティブ要素から取得されます。ページがインタラクティブになるまでの時間を示すこの指標は、ユーザーが操作を行う必要があるページで重要です。
レポートに表示される Agg FID(集計 FID)は、このグループ内 URL へのアクセスの 75% において、FID がこの値以下であったことを示しています。

https://storage.googleapis.com/web-dev-uploads/video/tcFciHGuF3MxnTr1y5ue01OGLBn2/10TEOBGBqZm1SEXE7KiC.webm

FIDはChromeデベロッパーツールでは扱えません。理由は訪問者のインタラクション(操作)が要求されるからです。そのかわりにTotal Blocking Time (TBT)がテストで代用できます。

FIDに関しては、2024年の3月にコアウェブバイタルから廃止され、代わりにINPが評価指標に使用されることになるそうです。

INPとは?

INPは、ユーザーがページを訪れた際に発生するすべてのクリック、タップ、キーボード操作の待ち時間を観察することで、ユーザーインタラクションに対するページの全体的な応答性を評価する指標です。最終的なINPの値は、観察されたインタラクションの中で最も長いもので、外れ値を無視したものです。2023年7月からSearch Consoleで通知されるようになりました。
Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」でレポートに追加されています。

詳しくは Interaction to Next Paint (INP) をご覧ください。

CLSとは?

CLS(Cumulative Layout Shift)とは、ページのライフスパン全体で発生した予期せぬレイアウト シフトを対象として、測定された個々のレイアウト シフトの合計スコアを意味します。スコアは 0 から正数の間で変動します。0 の場合はレイアウト シフトがなかったことを示し、数値が大きいほど、ページ上のレイアウト シフトが大きかったことを示します。この指標が重要なのは、ユーザーが操作しようとしたときにページ要素が移動すると、ユーザー エクスペリエンスが低下するためです。数値が高い理由を見つけられない場合は、ページを操作してみて、実際の挙動がスコアにどのように影響しているかを確認してください。
レポートに表示される Agg CLS(集計 CLS)は、グループ内 URL へのアクセスの 75% に対する一般的な CLS の最低値です。

https://storage.googleapis.com/web-dev-uploads/video/tcFciHGuF3MxnTr1y5ue01OGLBn2/10TEOBGBqZm1SEXE7KiC.webm

CLSはページが読み込まれてから、ページから去るまでの間(数日でも数週間でも)が計測対象です。デベロッパーツールのCLSでは、もっと短い時間でのテストとなるので、厳密には定義が異なるようです。

コアウェブバイタル改善が必要な理由と効果

スクロールできます
全体ニュースサイトショッピングサイト
減少するページ読み込み放棄率24%22%24%
読み込み放棄率の調査データ

表に記載の基準を満たすウェブサイトの場合、ユーザーがページの読み込みを放棄する(コンテンツが描画される前にページを去る)可能性が24%低くなります。更にニュースサイトの場合はページ読み込み放棄率が22%低くなり、ショッピングサイトの場合は、ページ読み込み放棄率が24%低くなるという調査結果が出ているようです。

Chromium Blog
The Science Behind Web Vitals Web Vitals is an initiative by Google to help business owners, marketers and developers alike identify opportunities to improve user exp...

テストの際に使用するツール

以下のツールが利用できます。

ラボデータはシミュレーションでテストを行った際のリアルタイムのデータを意味し、フィールドデータは実際のユーザーの計測データを意味しています。ツールで扱うデータはこの2種類の方法をもとに提供されています。

Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」でチェック

Search Consoleの場合は、実際のユーザーのデータを基にした「Chrome UX レポート」をソースとしたデータを確認する事ができます。

Search Consoleのウェブに関する主な指標
Search Consoleのウェブに関する主な指標

Search Consoleにログインして、左メニュー内の「ウェブに関する主な指標」をクリックしてみましょう。
以下のスクリーンショットのように使用状況データが存在するURLとその秒数を確認する事ができます。

コアウェブバイタル - 使用状況データが存在するURL
使用状況データが存在する URL

各指標を修正した場合は、Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」から「不良」または「改善が必要」タブをクリックして、詳細から該当する項目を選択して「修正を検証」をクリックしましょう。CrUXデータのデータが蓄積されるまで28日間かかりますので、修正してもすぐには反映されないという事を理解しておきましょう。

noindexページがコアウェブバイタルに影響を与える可能性もある

ほとんどの場合は気にする必要はありません。とういのもCrUX methodologyのドキュメントでは、オリジンデータセット用のルートページも含めて、次の条件に一致するあらゆるページは検知に必要な条件を満たしていないと明記されています。

  • 200以外のHTTPステータスコードが返されるページ(リダイレクト後も含め)
  • HTTP X-Robots-Tag: noindex ヘッダまたはそれに相当する状態で提供されるページ
  • <meta name="robots" content="noindex"> メタタグやそれ相当を含むドキュメント

つまり、これらの条件のあるページは、基本的にはコアウェブバイタルに影響を与える事はありません。ただし例外として、ページレベルのデータで十分なトラフィックの無いサイトで、それがCrUXで唯一利用できる状態であった場合、全体のオリジンレベル CWVスコアに影響を与える可能性はあるそうです。
※オリジンはウェブサイト全体を示し、通常ウェブサイトのドメインが指定されます。

コアウェブバイタル指標は301で転送される

古いページから新しいページへ301リダイレクトを使用して転送した場合、コアウェブバイタルの指標も引き継がれるようです。

PDFファイルは無視される

GoogleのJohn Mueller氏の発言では、コアウェブバイタルに関してはPDFファイルは無視されるようです。

SE RankingのサイトSEO検査でコアウェブバイタル指標も含めて一括チェック

その他表示速度に影響する要素も含めて一括で問題点を把握するなら、SE RankingのサイトSEO検査が便利です。

SE Rankingの「サイトSEO検査」ツールを使えば、ウェブサイトの全てのページを巡回して、表示速度に関する問題点も含め、SEOに影響のある問題点を自動で検知してくれます。

以下の手順で表示速度に影響する項目をチェックする事ができます。

STEP
SE Rankingの無料アカウントを作成

SE Rankingの無料トライアルアカウント作成ページで自身のアカウントを作成しましょう。クレジットカード登録不要で2週間無料で利用できます。

STEP
プロジェクトを作成する

以下の手順に沿って、チェック対象のウェブサイトに関するプロジェクトを作成しましょう。プロジェクトを作成してしばらくすると、サイトSEO検査が完了します。

導入手順

サイトSEO検査
サイトSEO検査でSEOに関する問題点を一括抽出
STEP
サイトSEO検査機能へアクセス

左側メニューの「サイトSEO検査」のサブセクションの「問題点レポート」クリックして確認しましょう。

問題点レポート
問題点レポート
STEP
「ウェブサイト速度」セクションをチェック

「ウェブサイト速度」セクションをクリックし、セクション内に問題点が無いか確認しましょう。問題点の項目をクリックすると改善方法のガイドが表示され、ページ列の数値をクリックすると問題が発生しているページも確認する事ができます。

サイトSEO検査のウェブサイト速度を確認
ウェブサイト速度の問題点リストを確認しましょう

「ウェブサイト速度」以外にも、以下の表示速度に影響する項目も一括でチェックしてくれます。

速度に関するチェック項目

  • 画像
    • 大き過ぎる画像
  • JavaScript
    • JavaScriptが圧縮されていない
    • キャッシュされていないJavaScript
    • 大き過ぎるJavaScript
    • 多すぎるJavaScriptファイル
    • 軽量化されていないJavaScript
  • CSS
    • 大き過ぎるCSS
    • CSSが圧縮されていない
    • CSSがキャッシュされていません
    • 多すぎるCSSファイル
    • 軽量化されていないCSS
  • パフォーマンス
    • LCP フィールドデータ
    • FIDフィールドデータ
    • CLSフィールドデータ
    • FCPフィールドデータ
    • LCPラボデータ
    • CLSラボデータ
    • FCPラボデータ
    • スピード指標
    • TTI
    • TBT

コアウェブバイタルは今後SEOにも多少影響するでしょうが、それよりはユーザーの行動にダイレクトに影響します。「良好」と判定されるように改善する事をおすすめします。

その他SEOに影響する要素については以下のページでまとめていますので、参考までにご確認ください。

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この記事を書いた人

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当ブログでは、読者の方に成功も失敗も合わせて情報を共有し、同じような悩みを解決できればという思いで運営しています。
【著書】
分析が導く 最新SEOプラクティカルガイド」(2022年5月27日発売 技術評論社)
最強の効果を生みだす 新しいSEOの教科書」(2017年9月20日発売 技術評論社)

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