Google Merchant Centerの「ロイヤルティプログラム」機能は、自社の会員向けに設定した会員価格や会員向けの配送特典を、Googleのショッピング枠に表示できる仕組みです。この機能の対象が2026年に入って順次広がり、日本を含む14か国で利用できるほか、会員特典はAIモードやGeminiといったGoogleのAI中心の画面にも表示されるようになりました。
さらに2026年10月初めには、会員データをGoogleに連携する「Loyalty Customer Match」の説明が更新され、AIモード・Geminiへの言及や、Merchant API経由での提供、Google広告を出していない事業者も参加できることが明記されたと報じられています。
本記事では、EC事業者が押さえておきたい変更点と、設定の流れ、注意点を整理します。
ロイヤルティプログラム機能とは
Merchant Centerのロイヤルティプログラム機能(ロイヤルティのアドオン)を使うと、次のような会員特典を商品情報に表示できます。
- 会員価格:会員ランク(ティア)ごとの特別価格。対象の会員には、通常価格に取り消し線を付けた形で表示される
- 会員向け配送:会員限定の送料無料や配送オプション
Googleのヘルプでは、既存の会員に合わせた特典を表示した小売事業者で、クリック率が最大20%向上した例が紹介されています(Google公表値)。
何が変わったのか
| 時期 | 変更点 | 出典 |
|---|---|---|
| 2024年 | 日本などで会員特典の表示が始まる | 報道 |
| 2026年3月 | 対象を14か国に拡大。会員特典がAIモードやGeminiなど「AIを中心とした画面」にも表示されると案内 | Merchant Centerヘルプ |
| 2026年10月初め | Loyalty Customer Matchの説明に、AIモード・Gemini、Merchant API経由での提供、広告主でなくても参加可能、最終的に支払いを求めるプログラム(一部の無料トライアルを含む)は対象外、などが追記されたと報道 | Search Engine Roundtable |
対象の14か国は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、韓国、スペイン、英国、米国です。
Loyalty Customer Matchのポイント
会員価格を「会員本人にだけ」表示するには、Googleがその人を自社の会員だと認識できる必要があります。そのために使うのが、会員データ(メールアドレス、住所、電話番号などと会員ランク)をGoogleに連携する仕組みです。
Merchant APIの開発者ガイド(2026年9月24日更新)では、次の点が説明されています。
- Google広告のアカウントがなくても利用できる
- 識別子として、メールアドレス、住所(郵便番号を含む)、電話番号(国際形式)を使える
- 会員ランクは最大7段階(TIER1〜TIER7)で、ロイヤルティプログラムの設定と対応させる
- プライバシー保護のため、登録した会員の一覧を取り出す操作はできない。照合できなかった場合や同意がない場合も、特にエラーは返らない
- ポイント残高を任意で送ることもできる
一方、Merchant Centerのヘルプでは、会員向けの取り消し線価格や配送特典を表示するために、Google広告のカスタマーマッチリストの連携が必要とも案内されています。広告を出していない事業者が使える範囲(無料リスティングでの表示など)と、広告の利用が前提になる範囲は、設定前に最新のヘルプで確認することをおすすめします。
日本のEC事業者にとっての意味
1. AI検索での「選ばれ方」に関わる
AIモードやGeminiで商品が紹介される場面でも、会員価格や送料無料といった特典が表示されれば、比較の段階で有利に働く可能性があります。AI検索の比重が高まる中で、価格や特典の情報をGoogleに正しく渡しておく重要性は増しています。AIモード自体の動きはGoogle AIモードの最新アップデートで整理しています。
2. 既存顧客の再購入を後押しできる
会員特典は、新規顧客の獲得よりも、すでに会員になっている顧客の再訪・再購入に効く施策です。会員本人に「あなたの価格」が見えることで、他店との比較から自社へ戻ってきてもらいやすくなります。
3. 個人情報の扱いに注意が必要
会員データをGoogleに連携するには、会員規約やプライバシーポリシーでの説明、同意の取得など、個人情報保護法に沿った整理が欠かせません。社内の法務・個人情報の担当と事前に確認しましょう。
設定の流れ(概要)
- Merchant Centerでロイヤルティのアドオンを有効にする
- 会員プログラムと会員ランクを設定する
- 商品データに会員価格(ロイヤルティプログラム属性)を設定する
- 会員向けの配送ポリシーを設定する
- 会員データを連携する(Google広告のカスタマーマッチ、またはMerchant APIのLoyalty Customer Match)
具体的な画面や属性名は変わることがあるため、作業時はMerchant Centerヘルプの最新の手順に従ってください。Merchant Center周辺の新機能は、Google Merchant Center の「Business Agent」とは?や新機能「Conversational Attributes(会話型属性)」でも取り上げています。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本でも使えますか?
A. 日本はGoogleのヘルプに記載された14か国に含まれています。ただし日本では、他の国と扱いが少し異なり、購入金額に応じて付与されるポイントを表示する「ポイントプログラム」が日本向けの仕組みとして別に用意されています。ポイントの特典はGoogle検索やGoogleウォレット、Googleマップなどに表示され、無料リスティングで商品を掲載している事業者が参加できます。会員価格や会員向け配送を日本で表示できる範囲は、設定前にMerchant Centerヘルプの最新情報で確認してください。
Q. Google広告を出していなくても使えますか?
A. Merchant APIのLoyalty Customer Matchは、Google広告のアカウントがなくても使えると説明されています。ただし、表示できる特典や画面の範囲は、広告の利用有無によって異なる場合があります。最新のヘルプで確認してください。
Q. 有料会員(サブスクリプション型)のプログラムでも使えますか?
A. 最終的に支払いを求めるプログラム(一部の無料トライアルを含む)は対象外になったと報じられています。有料会員制度を運営している場合は、対象になるかを事前に確認しましょう。
まとめ
- Merchant Centerの会員価格・会員向け配送の表示は、日本を含む14か国で使える
- 会員特典は、AIモードやGeminiといったGoogleのAI中心の画面にも表示される
- 会員データの連携は、広告を出していない事業者もMerchant APIで行える
- 個人情報の扱いと、有料会員制度が対象になるかは、事前の確認が必要
AIを介した購買の流れ全体については、UCP(Universal Commerce Protocol)の最新アップデートもあわせてご覧ください。
参考リンク
- Google Merchant Centerヘルプ「Loyalty program updates: Drive customer growth with expanded loyalty features」
- Google Merchant Centerヘルプ「About point programs: Japan」
- Google Merchant API「Overview of the Loyalty Customer Match Service」
- Search Engine Roundtable「Google Loyalty Customer Match Expands To AI Mode & More Regions」
- Search Engine Land「Google expands Merchant Center loyalty features to 14 countries and AI surfaces」

